まず最初に強調しておきたいことは、僕がドラゴンズファンだということである。
“10.8”といえば、ドラゴンズファンとしては、あまり思い出したくない試合。現実に、「正史」である「中日ドラゴンズ70年史 」でも特に大きな扱いではない。が、同時にプロ野球の歴史に残る試合でもある。最近でもNHKで桑田がインタビューに答えたりしていた。なんだかんだで見たけどさ。
この本も書店で見つけ、さすがに、当時の映像・中継を見たりするのは未だに辛いものがあるが、本ならばなんとかなるかな?でも流石に自分で買う気にはならないな、と思っていたら図書館に入っていたので借りて、読んでみた次第。
10.8といえば落合のホームラン、今中KO、立浪負傷、9回の誤審、くらいのキーワード(←ていうか本を見ずにこれだけ出てくるところがトラウマも良いところである)だったのだが、一読してみた感想としては、
- 落合vs大豊の四番対決(第1打席の結果が対照的)
- 今中vs落合の去年までのドラゴンズのエースvs4番対決(前年のFA時のあいさつから伏線を張る落合は鬼)
とゆーキーワードもあったのだけど、一番のキモは、この試合を「国民的行事」として大イベントにして、そういう「普通じゃないゲーム」感を出しまくった長嶋監督と、「1/130」としてあくまで普段通りの試合をしようとした高木監督の考え方の違いから来る心理ゲームというか、洗脳というか、モチベーション・コントロールの違いが大きかったのでは、という気がしてきた。讀賣 ((ドラゴンズファンの矜持として、「巨人」は使いません。あえて書くならジャイアンツ )) は
- 首位だったところを終盤の絶不調で追いつかれた
- 創立60周年&讀賣新聞120周年で勝つ必要があった
- 長嶋監督2年目&落合FAで戦力的にも優勝が必然だった
・・・というように、「負けたらタダじゃすまない」、すなわち長嶋退任、落合引退なんて局面まで行きそうな事態だったんだ、というのは当時はあまりなかった感覚だった。そういう「危機感」が「国民的行事」という言葉を産んだのではないか、そして「伝説」のミーティングが産まれたのでは、と今更ながら思ったり。そういう意味では、やっぱり長嶋監督だからこの試合のプレッシャーが異様に高まり、逆に長嶋監督だったからこそ、この試合を勝ちぬけたのかも知れない。
で、一方のドラゴンズ。最後まで期待された郭、山本昌 (( ふつうに書くけど、この人まだ現役って絶対おかしい。だって来年でここから20年よ? )) の登板が無かったのは、「普段の」リードされた試合のパターンにしたかった、それはつまり「普段通りの試合をしよう」という高木監督のガンコな部分がでた、ということだったんだろう。この本ではあまり活かせていなかった「今季限り退任」もその要素(いつも通り)に拍車をかけたのかも。もっともこの試合のせいで最近の後先考えない継投策をし始めているのならば困ったものですが。ただ、当時はそれほど郭とか昌は期待しなかったなぁ。今中が打たれてあぁぁ、という感じはあって、そのあと斎藤、桑田ときて打てないなぁ、もうダメかなぁ、という感はどんどん増していったんだけど。ということは後続のピッチャーも点を取られず抑えていたということだよね。逆に、序盤にドラゴンズがリードする展開になっていたら、郭、昌が出てきて、讀賣は宮本とかが投げるなんて展開になっていたのかも。
この試合は、確か母方の実家で夕食を食べる集まりがあって、試合開始前からTVで見て、立浪がケガしたときは帰りの車の中でラジオを聞いていた記憶がある ((ということは、熱狂的ドラゴンズファンの父親も半分諦めていたということか?案外、弟を早く帰宅させるために母親が父親をけしかけた可能性もあるが・・・)) 。誤審のシーンも覚えているから、最後まで見たのかな?ともあれ、この本を読んで、もう一度見てみたい気が起きてきました。が、現在の環境では当時のビデオを持っている奇特な方を探り当てるしかない現状。NPBはせっかくアンケートもとったんだから、こういう試合は野球博物館だけでも良いから見れるようにしてほしいところです。
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コメント
[…] で、感想を書こうと思ったら、Kindle版があることを知った。ちょっと驚き。それと10・8 巨人VS.中日 史上最高の決戦 の作者と同じという事も今気づいた。 […]